唐突ですが、横浜市民なら最低でも2度や3度は食べたことがあるでしょう。
崎陽軒のシウマイ弁当をッツ。
シューマイ、じゃなくて、シウマイ、なんですよね~。崎陽軒は。
(↓)『横浜市歌』 『リンリンランラン龍園』と共に、横浜ソウルの名曲、『シウマイ旅情』。
実は私、吉牛の次に崎陽軒のシウマイ弁当が好きと言っても過言ではないほど、大好物なのです。
細かいこと言うようですが、崎陽軒のシウマイが、ではなく、崎陽軒のシウマイ弁当が、です。
という訳で、昨日どうしてもシウマイ弁当を食べたくなって、わざわざ近所の駅(洋光台)まで行って買って
きちゃいました。
効率経済性一直線の今時、経木でできた折なんてそう見られるものではありませんが、崎陽軒さんでは経木
の折を使っております。そんな折を開けると、ほのかな天然松の香りと共に、いつもの、慣れ親しんだ面々が
こんにちは。待に待ってたやっと出た!!とはこの事です。
崎陽軒のシウマイ弁当。その小振りな外観だけ見ると、こんな小さい(縦20cm×横14.5cm×高3.5cm、平均的
なコンビニ弁当より一回り以上小さい)のに750円もするの???と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
蓋を開けた途端に、この密度感!! に納得される事でしょう。
そして、見た目以上に、ホント、食べ応え密度が抜群なのです。
横浜市内で企業の研修や講習なんかがあると、よく崎陽軒のシウマイ弁当がでてきます。
私も若い頃は、そんな研修に出ては、余ったシウマイ弁当をもらって、一度に3個食べたりして。
また、山下公園あたりでおデートの昼ごはんに関内駅で買ったシウマイ弁当を開いたりして。
その彼女にふられ気分でロックンロールな夜、シウマイ弁当を涙という調味料を馴染ませて食べたりして。
長じて、ちょっと懐具合が暖かい時、かみさんや子供たちのお土産にシウマイ弁当を買って帰ったりして。
―事ほど左様に、横浜市歌とシウマイ弁当は、私にとって切っても切れないハマの腐れ縁なのです。
さて、件の崎陽軒のシウマイ弁当ですが。
主役であるシウマイが美味しいのはあたり前田のクラッカー、アコースクラッカーだ!!です。
崎陽軒の『昔ながらのシウマイ』ですから。理屈は何にもいりません。
好みはあれど、シューマイとしてはもっと美味しいものがあるでしょう。
しかし、シウマイはこの崎陽軒のシウマイだけなのです。私にとっては。
崎陽軒のシウマイは、崎陽軒のシウマイと言う名の孤高の存在なのです。
この辺は、判る人にだけ判れば良い部分です。
♪おいしいシウマイ き~よぉ~けぇ~ん~♪ ですから。
それは兎も角、このお弁当、なんと言っても、もうひとつの主役である(と私が認める)ご飯が無茶苦茶
美味しいのです。
その秘密は、「蒸気炊飯方式」と「経木の折(弁当箱)」!!
ご飯を蒸気で炊き上げることによって、ふっくらつやつや米粒が立ち、冷めても美味しいのだとか。
さらに経木がご飯から出る水分を上手に吸収しつつ必要な水分を逃がさない。つまり、おひつに入ったご飯が
美味しいのと同じ理由なのです。
崎陽軒のお客様相談室の方によると(わざわざ電話して聞きました。お忙しい中とても丁寧にお答え下さい
ました)、経木は蝦夷松で、雑菌を寄せ付けない効果もあるとか。
私は、松の香りが染みたこのご飯が好きなんですよね~。コンビニ弁当では絶対に味わえません。
コンビニ弁当が色々頑張っている割には大して美味しくないのは、この辺なのではないでしょうか。
蛇足ながら、折の底板の年輪を数えて、多い方が勝ち、と言う遊びをした横浜市民も多いのでは。
そんな事ができるのも、自然素材を使用した折ならではです。
百人一首的には、「まつとし聞かば 今かえり.com」 (By 中納言行平=日本史上最高の女ったらしである
在原業平のお兄ちゃん。) …ってなもんや三度笠です。
(↓)冷めても美味しい経木ご飯。食べる時、ひとセル毎にちゃんと分離するのも凄いっちゃぁ凄い!!
書き加えるに、純白のご飯に彩と味わいと香りを添える小梅&黒ごまが嬉しいじゃあ~りませんか。
特に小梅ちゃんは、酸っぱすぎず香り嵩くで、私が食べた小梅ちゃんの中ではBest of best!! ではあります。
(↓)小梅ちゃんと黒ゴマ君。どちらが欠けても、横浜市民は嘆き悲しむであろう。
そして、その他のおかずも充実の一言です。
まず、浜っ子の間で「あいつ、弁当の筍みたいだな」と言われると、それは「派手じゃないけど存在感のある人」
という褒め言葉な程に、シブく認められているのが、筍の煮物。
甘辛くて香ばしく、ビールにも良く合っちゃたりします。これなくして、シウマイ弁当はありえず!!
(↓)実にシブイ!! 漢な筍!! うちは筍が大好きだっちゃ。
そして、彩を鮮やかにするかまぼこと卵焼き。
シウマイ弁当の歴史を紐解くと、最初期には「横浜かまぼこ」なるものか入っていたそうですが、「今は神奈川
県産のかまぼこを使用しております…」とは前出のお客様相談室の方。「やっぱり、小田原ですか?」と聞い
ても、「神奈川県産、としかお答えできないのです…」と申し訳なさそうに仰る。何か重大な秘密が隠されて
いるのか、かまぼこ!?
卵焼きはだしが良く利いていて味わい深く、何だかほっとする幼馴染のような存在です。
(↓)決して強くない自己主張なれど、彼らなくしてシウマイ弁当は成り立たない。
鶏唐。この1品のありなしで、随分と豪華さが違います。この鶏唐、決して油っぽくなく、ジューシさで
自己の存在を誇示しつつ、他のおかずの食味を損ねない名脇役です。
(↓)主役を張れる力量を持ちながらも脇に徹する鶏唐。
名脇役といえば、鮪の照り焼も忘れてはいけません。旨味が濃く、一口で食べてしまうのが勿体無い程です。
私は、ほぐしてご飯と一緒に口に入れるのが好み。
(↓)同じく、「鮪照焼弁当」が出てもおかしくはない程の実力者、鮪の照り焼。
鶏唐と鮪照焼は、崎陽軒のシウマイ弁当という名の小宇宙において、永遠のライバルでありつつ無二の親友
であるんですね。食していると、よぉく分かります。
この二人の醸し出す緊張感が、シウマイ弁当を引き締めつつ、どれだけ私の舌を悦ばせてくれた事でしょう。
ドカベンチックに言えば、土井垣と小次郎と言おうか。そんな感じです。
ついぞ見逃されがちな、切り昆布&千切り生姜ですが、彼らを最初にご飯の上にドバっと置いて食べるのが
私の流儀。ほんの一摘みにみえて、これは結構計算され尽くしたと思しきそれなりの量があるのです。
染みた松の香りとこの名コンビの老練な食味によって、ご飯の甘味もより引き立つと言うものです。
まるで、クリーンナップをスターにすべく地味な仕事をこなす2番バッターのごとし。
なくてはならないバイプレーヤーです。
(↓)君たちが居なければ、この弁当もさぞや味気ないものになっていたであろう…。
そして、抑えのエースはあんず。ほんのり甘くて酸っぱくて…初恋の想ひ出のよう。このあんずちゃん、私は
一番最後に食べるのですが、その頃にはシウマイにかけた醤油にやや浸っており、甘酸っぱさの中に醤油の
辛味が加わり、そうなると、「また食べてね
」…なんて訴えかけてくる小悪魔になるでありんす。

(←)ちなみにこのあんずちゃんは南アフリカ産だそうで(前出のお客
様相談室の方談)、崎陽軒さんとしては、食材は決して神奈川県産に
こだわってはいないとの事でした(ちなみに、筍は中国産)。
いいじゃないですか。インターナショナルシティー・ミナトヨコハマ~![]()

らしくて。
蛇足的トリビアですが、日本で最初にお弁当にお手拭きをつけたのが
崎陽軒のシウマイ弁当だそうです。さすが横浜の弁当だけあって、
きっちり「日本で初めて」も押さえてらっしゃいます。
そんな訳で、横浜に来たら畏怖して下さい。
そこには、最強の弁当があるのですから。
―いつもの如く、「心霊ブログ」らしからぬ記事で恐縮でした。
今日初めてこのブログにいらっしゃった方、このブログは「心霊ブログ」ですので、そこんとこよろしく。
(参考) 崎陽軒HP 「シウマイ弁当」