★雨のふる夜、とつぜんあらわれ★
★たぶきみな円盤! そして、そ★
★の中から奇妙な宇宙人が……★
【怪人間出現!!】
(おや、なんだろう。あの光は……)
ユージュオ・ダグラスさんはおもわず、運転するトラックのスピードをおとした。
ゆくての道のまんなかにまぶしくなにかが、かがやいていたからだ。
一九六三年10月18日の夜8時ごろ。アルゼンチンのモルバ・ルデーモンテマイクス間のハイウエイでおきた
事件だ。ザーザーと、そとは、どしゃぶりの雨だ。
それでも、ダグラスさんは、トラックからおりて、そのあやしく光っているほうに、ちかづいていった。
「あっ! え、円盤だ!」
ダグラスさんは、あわてて、もとにかえりかけた。
だが、(そうだ、もうすこし、ていさつしてやれ)
ダグラスさんは、こがげにかくれて、じっと円盤をみはっていた。
直径は10メートルもあろうか。と、そのとき―。
円盤の前に、三つの黒い姿のものがあらわれた。
それは、人間のような、かたちをしていた。
しかし、からだじゅうが金ぞくのような、銀色のものでつつまれているようだ。
しかも、あるきかたはロボットみたいに、ぎこちなかった。
そして、木のかげにかくれている、ダグラスさんのほうにむかって、ノッシノッシと、あるいてくるではないか!
「うわあっ!」
ダグラスさんは、トラックへにげかえると、泥棒よけにもっているピストルを、座席からとりだした。
「か、怪物め!これでもくらえ!」
ダーン! ダーン! ダグラスさんは、むちゅうでうちまくった。
だが、弾丸は、たしかにあたっているのに、怪人間たちは、、どんどん、こっちへやってくる。
…
胸躍りますね~!!
山本輝也氏の挿絵(あえて「挿絵」と呼ばせてもらおう)の迫力と共に、妙な信憑性をもって読み手に迫って
きます。画像の原典は不明ですが、おそらく’70年代の少年誌でしょう。
こんなのばっかり読んでいた、私のような昭和40年代生まれが、UFOとか宇宙人とかに染まるのも
当然といえば当然です。
(おや、なんだろう。あの光は……)なんてフレーズは、UFOネタとしては定番かつ最高の導入部ですね~。
子供の頃は、こういうハナシを頭から信じておりました。
で、その後ダグラスさんがどうなったかと言うと…。
怒った(?)宇宙人からビーム攻撃を受けて火傷を負い、ほうほうの体で最寄の農家に逃げ込んだ
らしいです。
(そうだ、もうすこし、ていさつしてやれ)なんて、妙な好奇心が仇になってしまいました。
だいたい、「怪光線で攻撃してきた」なんて言ってるけど、「か、怪物め!これでもくらえ!」、と先に攻撃した
のはダグラスさんじゃん!!
と、ツッこんでもおきましょう。(スペイン語のサイトでは、光線で攻撃されたダグラスさんが銃で反撃した…
っぽく書かれておりますが。)
ダグラスさんは、UFOが現われた時に硫黄のような刺激臭のする霧が出たと証言しました。
農家の人も異臭を感じ、しかも、「色を変える光」を見たらしい。この、「色を変える光」は、他の住民も目撃
していました。たぶん、低高度の星が大気のプリズム効果によって色を変えるのを誤認したんだと思いますが。
ダグラスさんを診察した医師は、火傷は紫外線などによるものではないかと診立て、その火傷は警官も
確認しています。加えて言うなら、ダグラスさんのトラックは電装系にダメージを負っていたそうです。
さらに、ダグラスさんが宇宙人と遭遇した現場には、20㎝ほどの足跡があったそうな。
ジャック・バレーが調査に乗り出したらしいですが、UFO事件としてはそのまま何となくフェードアウトして
しまい、マイナーネタに落ち着いたようです。
言わばよくある宇宙人ネタなのですが、いやしかし、優れた挿絵と文章力によって真に迫ってる感が
爆発していたので、、当ブログでご紹介しない訳には参りませんでした。
あの頃のUFOネタはトキメキがあって良かったなぁ~。と感慨に浸るTOでした。